以前、勤めていたところは
海外赴任経験者が多い会社でした。
ある雑談中、海外経験者全員が
茶道もしくは華道を習っていることを知りました。
不思議に思い訪ねてみたところ、
「海外で恥をかいたから」。
私たちが思っている以上に外国の方々は
日本の文化に敬意と興味をもっているのだそうです。
日本人が仕事での仲間になるということは
日本文化に触れることができる
またとないチャンスと思われるのだそう。
ところが
「日本の文化を教えてください」
「日本人とはなんですか」
この質問に明確に答えることが出来なかったのだそうです。
外国の方々の落胆した顔を見たとき
「日本に帰ったら<道>がつくものをやろう」と誓われたそうなのです。
今からできるものとして、茶道や華道を習われ始め、
「これほど奥が深く面白いものはない」と気がついたそうです。
次に務めた翻訳•通訳の会社、経理担当者以外、
社員全員バイリンガルという職場でした。
ここでも興味深いお話を聞きました。
バイリンガルというのは中途半端だというのです。
中学校なり高校で帰国し日本の学校へ転入しても
ちやほやされるのは初日の午前中だけ。
海外にいたときと同様に振る舞うと
「ヘンな子」と敬遠されるのだそうです。
いざ、日本の会社に就職しても
「空気が読めない」と浮いてしまう。
それでは子供時代を過ごした国で就職しようとしても
外国で日本人を雇用する際に求めるのは
日本の文化をしっかり身につけた
-いわゆる本物の日本人-
語学も日常会話ができる程度では
あえて日本人を雇う意味がない。
長年いけばなを習っていた私に向かって
「あたなが羨ましい。
私たちの目から見たらあたなは立派な日本人。
中身が日本人であることが、海外で求められる日本人。
あなたは私たちがどんなに努力しても
持つことが出来ないものを、『道』を通して持っている。」
私はいけばなを始めて30年以上経ちました。
まだまだ分からないことも多いです。
一生かけても極めることはできないと思っております。
その<道>を究めるお手伝いや
きっかけになることが出来ればと願っております。