日めくり音楽帖
良い耳を作れるクラシックからポピュラー作品を
季節に合わせて紹介しています&日々のlessonとか
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12月 クリスマス ~四季より~2022/12/5(月)
1.
2.

少女たちは かつて未来のことを たずねてみようと企てました
自分たちの靴をクリスマスの日に 門の前へ投げました・・・
(詩 ジューコフスキー)

子供たちにとっては特にうれしいクリスマス
クリスマスの夕べに娘たちが靴を投げて占う風習を歌った
ジューコフスキーの詩を標題としている

この曲は、ワルツのテンポとリズムをもって書かれ、多分に
バレエ音楽らしいところがある優雅な作品で、そのためか
クリスマスに踊る曲との解釈もある
曲の構成は3部形式で、中間部はホ長調に転調し、メロディ
の受け答えがひんぱんに行われている
バレエ音楽の大家であるチャイコフスキー特有の華やかで
メロディックなところが好かれているさり気ない銘作

靴を投げて占うといったら日本では「明日の天気」ですが、
さてさて未来の占いは、いったいなんとでたのでしょう・・

◆チャイコフスキー 四季より 12月 クリスマス
https://www.youtube.com/watch?v=TfPlv55DWN0


10月 秋の歌 ~四季より~2022/10/12(水)
1.

わたしたちの庭から 秋が金色の木の葉の飾りを奪った
そして木の葉はゆっくりと 林の中を風にはためいて行く・・・
(詩 A・トルストイ伯爵)

なんとも心細い淋しい風情 色づいた木の葉も散り出し
秋が早足でせまってくる悲しい気分にあふれた曲
(ピアノ曲集「四季」は旧暦設定のため現在の暦では
11月に相当)
「秋の歌」はチャイコフスキー特有の抒情味にあふれた
旋律が、わびしい秋の気分を巧みに描がいている
中間部でほんの少し希望の光が射し込むように、長調の
明るい顔が出てくるが、たちまちもの悲しい気持ちに
押されるかのように静かに終わる
まだ明るいけれども、澄んだ、ひんやりとした秋の
冷涼感にニ短調がよく合う
自然界の秋、生命の秋、この曲の気分に大変近いのが、
悲しみと孤独感の漂う、きわめて私的な抑揚をもった
チャイコフスキーの歌曲『以前のようにまた一人に
なって』だとも言われる
チャイコフスキーが活躍した19世紀後半は西洋音楽が
ヨーロッパ中心部の仏、独、伊から周辺地域へ広がって
いく国民学派の時代でもあった
チャイコフスキーを含むロシア5人組を発端に、やがて
チェコ、ハンガリー等の東欧や北欧、スペインと大きく
広がっていった

◆チャイコフスキー 四季より 10月 秋の歌
https://www.youtube.com/watch?v=qv9rX9AuKoM


行進曲 威風堂々 Op.392022/ 9/20(火)
1.
2.

エルガーの軍隊行進曲『威風堂々』は全部で5曲あり、
5曲中、一番人気のあるこの第1番は1901年に
作曲され、同年10月にリヴァプールで初演された
その数日後のロンドン初演では、熱狂した聴衆の
ために合計3回も演奏させられたらしい
また、時の英国国王エドワード7世はエルガーに、
「君は、いずれ世界中に知れ渡る”ふし”を作曲したね」
という御言葉を賜ったという有名な逸話が残っている
国王が絶賛したのはトリオ(中間部)の美しいメロディの
ことで、さらに国王はこれに歌詞をつけるよう勧めた
エルガーはこの言葉に応えてエドワード7世の
『戴冠式領歌(作品44)』の第7曲終曲にA.C.
ベンソンの詩をつけて『希望と栄光の国』として、
この旋律を使った
この『希望と栄光の国』はのちに独立した歌曲に編曲され、
イギリスの第2の国歌として愛唱されている

イギリス人はよくシェークスピアから言葉を引用するが、
この曲の原題『Pomp and Cir-cumstance』もシェイク
スピアの『オセロ』第3幕オセロのセリフ
『Pomp and Cir-cumstance of gloriouswar
(輝かしい戦いの盛儀盛宴)』からとられている

ミリタリー・マーチの開始に相応しい勇壮な序奏から
一気に気分を高揚させてくれ、その後もグイグイ引っ張ら
れ、そして悠々と登場するトリオの威厳、風格は、まさに
王者、勝者をイメージさせる黄金のメロディは歴史そのもの
のエリザベス女王の圧倒的な存在感にも通ずるだろう

◆エルガー 行進曲 威風堂々 Op.39
https://www.youtube.com/watch?v=l0JRE9AD7II


9月 狩りの歌 ~四季より~2022/ 9/ 5(月)
1.

さあ今だ! 角笛が鳴っている!
狩人たちはすでに構えた
猟犬は飛び跳ね 前へ行こうとする
そのうちに 今にもとめておくことが
出来なくなりだしている・・・
(詩 プーシキン)

9月 狩りの歌は明るいト長調 角笛が響き、
犬も勇み立つという、これから出かける狩の
楽しさを歌ったプーシキンの詩を標題とする
狩の合図をするような角笛風のモチーフに始まり、
その他いたるところで角笛を思わせる進行が出て
メンデルスゾーンの狩りの歌を思わせる
オクターブが多く使用されエネルギッシュで勇敢な
感じから中間部は駆り立てるようでありながら柔和
さものぞかせる

◆チャイコフスキー 四季より 9月 狩りの歌
https://www.nicovideo.jp/watch/sm28593389

◆画像:キツネ狩り


8月 とり入れ ~四季より~2022/8/11(木)
1.

今 男も女も子供も 茎がそんなにも背高く
のびた穀物を刈っている
それらを束にして村に運んでいく
そして一晩中
車のきしむ音がきこえる…
詩:コルツォーフ

収穫の喜びに満ちた活気ある様子を表現した
作品で、8分の6拍子と4分の3拍子が入り混じった
ようにも聴こえ、とり入れ作業のせわしなさが
浮かぶ
中間部は穏やかで静かな歌が入り、ホッと一息つくが
また激しい労働のようすが始まり、華やかに終わる
メランコリックなロ短調で印象的なリズムがおもしろい
タイトルを知らないで聴いたら 激しい戦いを強いられる
ヒーロー、ヒロインのテーマになりそうなコケティッシュさがいい☆

◆チャイコフスキー 四季より 8月 とり入れ
https://www.youtube.com/watch?v=Ru_xMKmUHks


7月 刈り入れの歌 ~四季より~2022/ 7/ 7(木)
1.

~四季より~ 7月 刈り入れの歌
私の手はむずむずする 打つために振り上げよ!
風よ 南から顔に吹いてくれ!…
詩:コルツォーフ

素朴な民謡風の明るくて楽しく、ジプシー風なところも
ある魅力的な作品
牧歌的な導入部が終わると中間部は、ますます力強く
刈り入れ作業に励む働く人々の熱が増してくる
短い中にも暑い日差しの中で健康的に作業がはかどる様が
くっきり見えてくる
最後の方の伴奏に出てくる3連音がとても弾きにくいが
チャイコフスキーらしい音楽描写がいい!

◆チャイコフスキー 四季より 7月 刈り入れの歌
https://www.youtube.com/watch?v=Kr9VZPb15s4

◆画像:四季を作曲した頃のチャイコフスキー


私のお父さま~ジャンニ・スキッキより2022/ 6/13(月)

私のいとしいお父さま あの方がとても好きなの
これからポルタロッサへ指輪を買いに行くわ
ええ 行きますとも
もしお許しが出ないなら ポンテヴェッキオ橋へ行って
アルノ河へ身を投げます 思い焦がれ苦しんでいるの 
ああ 神様 死にたいわ  どうかお願い お父さま

という歌詞の「私のお父さま」はオペラ「ジャンニ・
スキッキ」で歌われる美しいアリア
「蝶々夫人」「トスカ」「ラ・ボエーム」などで有名な
プッチーニ(1858-1924)の作品で全作品中、この
ジャンニ・スキッキだけが喜劇
物語は、1299年のフィレンツェ 大金持ちのヴォーゾが
亡くなり、親類達が嘆き悲しむが、街では遺産はすべて
修道院に寄付されるという噂が流れ、その遺言状が公証
人の手に入るとまずいと遺産目当ての親類達は部屋中を
探す そして、ついにリヌッチョ(T)がそれを見つけ
出し、伯母のツィータに「見つけたのだからラウレッタ
(S)と結婚させてくれ」と頼む
遺言状を開けたら、噂どおり全財産が修道院に寄付とあり
皆、怒り出す リヌッチョは、「遺言状を変えられるのは
(知恵者の)ジャンニ・スキッキだけだ」と歌う
スキッキは、持参金なしの娘とは甥を結婚させないと
ツィータにイヤミを言われ、怒ってしまうが、リヌッチョに
遺言状を見せられ、何か良い案はないかと訊かれ、可愛い娘
のラウレッタにもアリア「私のお父さま」で必死に頼まれ、
ついに本気で人肌脱ごうと考えるが・・・

そして物語の最後は強烈なオチがついて幕となる
このアリアの美しさと物語のドタバタ感がどうしてもリンク
しないが、そこがイタリアオペラのおしゃれなところなの
かもしれないと同時に1200年代から遺産問題って、、、
人間はずっと同じようなことしていく生物なんだなあー
やはりマリア・カラスのアリアが一番いいと思う

◆私のお父さま~ジャンニ・スキッキより
https://www.youtube.com/watch?v=l1C8NFDdFYg

◆画像上:ジャコモ・プッチーニ
◆画像中:マリア・カラス
◆画像下:フィレンツェのポンテヴェッキオ橋
東京ディズニーシーにかかる橋のモデルになったと言われる
アルノ河にかかるポンテヴェッキオ(伊語で古い橋の意)橋
橋の両端には宝飾店など多くの店舗がある