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004-022 「ハロウィンのお話」 前編
 大きな木々が、おだやかに葉っぱを躍らせていました。
 動物村は、今日も良いお天気です。

 いつものように、キリコは村中を見て回っていました。
 キリコは動物村の村長さんです。『背が一番高いので、村のすべてが見渡せるから』という理由で、子供ながらに、動物村の村長さんに大抜擢されてから、一体どれくらい経ったでしょうか?
 キリコは、責任ある立場に立てたことが嬉しくて、村長さんのお仕事を一生懸命していました。
 村の見回りは村長さんの役割のひとつで、キリコが毎日欠かさず行っていることなのです。
「今日も特に変わらないっキね」
 いつもどおりの穏やかな光景に安心すると、ごろんと横になって秋の空を眺めました。
 動物村にある、大きな大きな木々よりも、ずっとずっと高い青空に、うろこ雲の大群が気持ちよさそうに泳いでいます。
 いつの間にか、心地よいそよ風さんたちが、キリコの周りでお話し始めました。
 彼らはうわさ話が大好きなのです。やれ、あの町では何々が流行っているだとか、誰々がどうだとか、夢中でお話しています。
 キリコは横になりながら、しばらく黙ってそよ風さんたちのお話を聞いていましたが、その内、キリコにとって、とても興味深い話になりました。

 そう、『異世界』のお話です。
『異世界』とは、動物村がある動物の森の、そのまた外にある不思議の森や、その不思議の森を越えたところにあるという、ガラスの森をも越えた所にあるらしい、どこか遠くの知らない世界のことです。
 そこには、キリコたちとは違う動物が住んでいるらしいと、最近動物たちの間で、もっぱらのウワサになっていました。
「『異世界』って、本当にあるっキかな?」
 キリコをはじめ、動物村に住む動物たちも、『異世界』についてたくさん話してみたり考えてみたりしましたが、いまだに分からずじまいです。
 しかし、自分たちが知らないものを考えるということは、とても楽しいことでした。
 そよ風さんたちも、『異世界』のうわさ話が大好きです。
「それでね、その世界には『ハロウィン』ってお祭りがあるらしいのよ」
 そう最初に言ったのは、つい最近、この動物村にやってきたそよ風さんでした。
「『ハロウィン?』聞いたことがないな」
 秋風さんが言いました。キリコも聞きなれない言葉に首を傾げました。全く知らないお話です。
「あのね、私も良く分かんないんだけどね」
 そよ風さんは、ハロウィンについて知っている限りのことをみんなに話して聞かせました。

「とにかくその日は、かぼちゃのランタンを作ったり焚き火をしたりするんだって。あと、こわ~いお化けやかぼちゃなんかに変装してね、『トリック・オア・トリート(Trick or treat)』といって家を回ると、なんとお菓子がもらえるらしいわ」
「トリック……なんだって?」
 秋風さんが尋ねます。
「『トリック・オア・トリート』よ。それを言われたら『ハッピーハロウィン!』って言ってね、お菓子を渡すらしいわ」
 しかしそよ風さんは、なぜそのお祭りをするのかよく分かりませんでした。
 なぜならば、ここは動物村。『異世界』の風習や聞きなれない言葉など、雲の上のお話なのです。
 キリコも、どんなお祭りなのか、聞いただけでは良く分かりませんでしたが、ただひとつだけハッキリ分かったことがありました。
 どうも、その日はお菓子がもらえるらしいということです。
『お菓子』
 キリコはその魅力的な言葉のとりこになりました。
 お菓子がもらえる……そんな素敵なことってあるでしょうか?

「そうだ、動物村でも『ハロウィン』ってお祭りをやろうっキ!」
 キリコは思い立ってそういいました。
 いきなりの提案に、そよ風さんたちは驚きましたが、いいアイデアだとも思いました。なぜなら、意味は分からない『異世界』のお祭りではありますが、とても楽しそうだからでした。彼らは楽しいことやわくわくすることが大好きなのです。
「それは楽しいお話ね」
「キイちゃんはアイデアをだすのが得意だからね」
「いいアイデアだと思うよ」
 そよ風さんたちは、口々にキリコをほめました。キリコはなんだかとても嬉しくなって、早速この素敵なお話を、動物村のみんなに聞かせてやりたくなりました。
「ありがとうっキ! 早速みんなに話してくるっキ!」
 そうお礼を言うと、一目散に駆けて行きました。
 そよ風さんたちはキリコを見送ると、早速、面白そうなことが起こりそうだと村中に知らせに、思い思いの方向へ吹き去っていくのでした。



004-024 「ハロウィンのお話」 中編
 早速キリコは、動物村のみんなに話してまわりました。そよ風さんたちのうわさ話も手伝ってか、たちまち動物村全体に伝わっていきました。
 動物村の動物たちは、お祭りが大好きです。何でも祝って楽しもうという心の持ち主が多いのです。ですから、みんな結構乗り気。
 幸いにも、そよ風さんが教えてくれたお祭りの日まで、まだ少し時間がありました。
「それで、何を準備すればいいんだい?」
 村の動物さんがたずねました。
「ん~~~とっキ……」
 キリコは、かぼちゃが必要だとか、お化けとか怖い格好をするのだとか、そよ風さんのお話を思い出して話しました。
「そうか、かぼちゃだな。あとは、怖~いお化けとかに変装したらいいんだな?」
「ランタンとかも作るみたいっキ」
「どうやって作るの?」
「そんなのてきと~でいいんじゃねぇか? てきと~で! 要は、楽しんだもの勝ちだ」
「そうね」
 動物たちは話し合い、正式にハロウィンのお祭りを動物村でもすることを決めました。
 本当の『異世界』のハロウィンは、それぞれのお家を回ってお菓子を貰うようですが、動物村は家々が離れすぎていて、回るのにとても時間が掛かってしまいます。
 そこで、更にハロウィンのお祭りについて話し合った結果、その日は、大人も子供も自分が思う怖いものに変装して、動物村の真ん中にある広場に集まり、焚き火を炊いて、みんなでハロウィンの挨拶をし、お菓子を全員に配って、各家庭から持ち寄ったかぼちゃ料理を食べようということになりました。
「とびきりのかぼちゃ料理を作りますわよ」
 ゾウマル君のお母さんも楽しげに話しました。

 村の子供たちも、ハロウィンについてお話しています。
「怖いものに変身して『トリック・オア・トリート』って言うと、お菓子がもらえるんだっキよ」
「変身? 何に変身するの?」
 コマちゃんが、興味津々で聞きました。
「こわ~~いお化けとかっキよ」
 それなら絵本で見たことがあると、コマちゃんは思いました。その他にも、魔女だとか、コウモリだとか、この世界のものとは思えないものがたくさん載っていました。
 コマちゃんは、動物村の子供たちの中では、誰よりも本が大好きで、このような絵本もたくさん読んでいたので、他の子供たちより少しだけ物知りでした。
「じゃあ、何になるか決めて、早速準備しよう!」
 コマちゃんは元気に言いました。

 その様子を、うにゃみのむしたちが見ていました。
「うにゃ」
「うにゃにゃ」
「うにゃっ」
 なにやらお話をしているようです。どうやら、うにゃみのむしたちもお祭りの相談をしているようですよ。

 こうしてキリコたちは、ハロウィンの用意をし始めました。

 ハロウィンには、たくさんのかぼちゃが必要でした。しかし、動物村には、そんなにたくさんのかぼちゃはありません。
 キリコは北風さんに、動物村の外にある農園まで行って、かぼちゃを採ってきてくれるようにお願いしました。
 農園は、コケッコタウンの動物たちが経営する大きな農場で、この動物が住む世界のすべての食料をまかなっていると言われるくらい、沢山の食べ物を作っていました。
 コケッコタウンの町長であるコケッコさんは、口が大変悪く、毒舌家なのでみんなから恐れられていましたが、気前はとてもいいのです。
 キリコはコケッコさんに頼めば、きっとかぼちゃをたくさん分けてくれるだろうと考えました。
 北風さんは「分かった!」というなり、あっという間に吹き去って、あっという間にたくさんのかぼちゃを運んできてくれました。
 きっとコケッコさんは、二つ返事で気前良くかぼちゃを分けてくれたのでしょう。動物村の動物たちは、気前のいいコケッコさんに感謝して、それぞれが使う分だけかぼちゃを持って行きました。 
 それにしても、そのときの強い風といったら。森が丸ごと飛んでいってしまうのかと思うくらいでした。

 村の大人たちは、手分けしてかぼちゃのランタンをたくさん作りました。今まで、かぼちゃではランタンを作ったことがありませんでしたが、ランタンがどんなものかは知っていましたので、それをヒントに作ってみました。
 かぼちゃをくりぬいて、真ん中にろうそくを立てました。それと、怖い感じが出るように、かぼちゃの表面に怖い顔を彫ってみました。
 動物たちは、なかなか上手くいったように思いました。
 そうして出来たたくさんのランタンを、広場のまわりにぐるりと置きました。こうすれば、夜も明るく過ごせます。
 それから、動物村にある大きな木にお願いして枯れ枝を分けてもらい、広場の真ん中に置きました。焚き火をするためです。焚き火は動物村でもよくしていますので、スムーズに準備が出来ました。どうやら、いつもの焚き火よりも何倍も大きな焚き火にするようです。

 お料理は、一家に一品ずつ美味しいかぼちゃ料理を作り、当日持ち寄ることになっていました。
 ゾウマル君の家では、かぼちゃスープを作ることにしました。
 ゾウマル君のお母さんは、とにかく大きなおなべに、適当な大きさに切ったかぼちゃを、豪快に放り込んでいます。そして、なにやらたくさん加えてぐつぐつ煮込みました。おいしそうなにおいが辺りに漂います。
 食いしん坊のゾウマル君は、お母さんの作った美味しそうなかぼちゃスープを、食べたくて食べたくて仕方がありませんでした。でも、初めてのお祭りの為に作ったスープですので、何とか食べるのを我慢していました。

 子供たちは、ハロウィンの衣装を作るために、ゾウマル君のお母さんに布を分けてもらい、それぞれが思う怖いものを、時間が経つのも忘れて夢中で作りました。そして、お祭り当日までには何とか作り上げることが出来たようです。

 お祭りの準備は大体整いました。
 後は、ハロウィンのお祭りの会場になっている、広場の大きな木のテーブルに、動物たちが作ってきた色々なかぼちゃ料理を、手分けして並べるだけです。
 しかし、キリコにはもう一つやることがありました。それは、お祭りの始めに村長として挨拶することになったので、何を言うか考えることでした。
 キリコは、上手くやれるかとても不安でした。でも、みんなに励まされ、何とか頑張って考えました。そして、あの難しい『異世界』の言葉もすらすら言えるように、繰り返し練習しました。
「何とか言えるようになったっキ。後は本番、上手くやるっキよ」
 キリコは自分に言い聞かせるようにつぶやきました。

 動物たちにとって、ハロウィンのお祭りは初めてです。一体どんなことになるのでしょう。誰もが期待で胸がいっぱい。

 さあ、いよいよ明日はハロウィンのお祭りです! 


004-026 「ハロウィンのお話」 後編
「コケッコ~~~~~~~!!!!!」
 遠くの方で、コケッコさんの鳴き声が聞こえました。
 朝です。なんて気持ちの良い青空。なんて素敵なお祭り日和。
 いよいよです。いよいよ待ちに待った、ハロウィンのお祭り当日がやってきたのです!
 動物村の動物たちは、子供から大人まで、ワクワク、ドキドキ、ソワソワ。朝から落ち着きがありません。なにせ、動物村で初めての新しいお祭りですからね。
 動物たちは、お祭りが始まるまでに会場を見回って、ちゃんと準備が出来ているか最終チェックをしていました。
 大丈夫、ちゃんと出来ています。後は、今日のために各家庭で作ってきたかぼちゃ料理を、広場の大きなテーブルに並べて、みんなが怖いものに変身するだけです。
 お祭りの時間は刻一刻と近づいてきます。
 動物村のみんなは、それぞれ怖いと思うものに仮装して広場へ集まってきました。

 おや、リボンちゃんともっちいがきたようですよ。二人とも仲良くお化けになっています。
「お~ば~け~だ~ぞ~」
「どう? 似合うかな?」
 二人でお茶目に言い合っています。
 リボンちゃんは、お化けになってもリボンでおしゃれすることを忘れません。「お化けも可愛くなくっちゃね」と言って、白い布にリボンを付けてみたのです。ですから、お化けに変身してもリボンちゃんだと良く分かります。

 コマちゃんは、いっぱいお菓子が入ったかぼちゃを見つけました。それはきっとハロウィンの為のお菓子に違いありません。
「おいしそうだなぁ」
 お菓子を配る時間が、益々楽しみになりました。

 さて、コマちゃんがリボンちゃんともっちいがいる広場に到着しましたよ。
「あっ、コマちゃんだ! お~ば~け~だ~ぞ~!」
 リボンちゃんが、お化けのまねをしながら、コマちゃんに向かってぴょんぴょん飛び跳ねながら言いました。よっぽどお化けの格好が気に入っているようです。
「コマちゃんは、何に変身したの?」
 もっちいがたずねました。
「こうもりだよ。どうかな? 怖いかな?」
 コマちゃんは、大きく手を広げてこうもりのマネをしてみました。
「あはは、うんうん、コマちゃんすごく似合っているよ」
 と、もっちいがコマちゃんをほめましたので、コマちゃんは、ちょっぴり照れくさくなりました。

 おや、ゾウマル君がやってきましたよ。
 なんて可愛らしいかぼちゃなのでしょうか?
「わあ、素敵なお洋服」
 リボンちゃんがうっとりと言いました。おしゃれに敏感なリボンちゃんは、ゾウマル君の格好が気に入ったみたいです。
「お母さんが作ってくれたんだ」
「いいなあ」
 もっちいも、うらやましそうに言いました。
 みんなにほめられて、ゾウマル君は嬉しそうです。

 そこへ、キリコとキナ、うにゃみのむしたちが沢山やってきて、あっという間に広場はにぎやかになりました。うにゃみのむしたちは、こうもりやかぼちゃになっています。
「どうっキ? 『魔女』っていう人だっキよ」
「キナちゃんは、かぼちゃのおばけになったっキナよ」
 そういって、二人とも同じようにくるりと一回転しました。
 魔女もかぼちゃのおばけも、コマちゃんが持っていた絵本に載っていたイラストを参考に作ったようです。
「かわいいね」
「素敵!」
 子供たちの話に花が咲き始めると、うにゃみのむしたちも一斉に
「うにゃ!」
「うにゃあ!」
 と、嬉しそうに声を挙げたのでした。

 ゾウマル母がやってきました。沢山のお菓子が入ったかぼちゃを軽々と持ち運んでいます。
 それは、さっきコマちゃんが見つけた、お菓子の沢山入ったかぼちゃでした。
「さあみなさん、もうすぐハロウィンのお祭りが始まりますわよ!」
 そういいながら、どしん、と沢山のお菓子の入った大きなかぼちゃを子供たちの前に置きました。一つだけではありません。何個も、何個も、並べたのです。
 それを見た子供たちの目が、たちまち輝き出しました。目の前のお菓子に釘付けです。
 大人たちも、次々と集まってきました。もちろん、怖いと思うものに変身しています。わいわい、がやがや、かなりの動物たちが集まりました。
 どうやら、そよ風さんたちもお祭りを楽しもうとやってきたようです。お祭りの始まりを告げるように、ふう、とひとふきしました。
 
 いよいよ、ハロウィンのお祭りが始まります!

 まず、広場の真ん中にある焚き木に火をつけました。動物たちは普段から焚き火をしていましたが、この日はお祭りということで、いつもよりも何倍も大きな焚き火を盛大に炊きました。
 それから、沢山のかぼちゃのランタンに火がともされました。
 それは、広場の周りをぐるりと囲むように置かれています。動物たちは、しばし神秘的な炎を見つめていました。
 すると、今回のお祭りの司会を任された羊のメ~さんが、切り株の壇上に立ちました。
「皆さん、ようこそハロウィンのお祭りへ!」
 一斉に注目が集まります。
「今回の司会を任された、メ~です。どうぞよろしく!」
 パチパチパチ、みんながメ~さんに拍手します。
「それではキリコ村長、ご挨拶をどうぞ」
 厳かにメ~さんが言いますと、
「ふぎっ……」
 キリコはマイクの代わりの枝を持ち、切り株の壇上に上がりました。
 ドキドキ、ドキドキ、上手く言えるでしょうか?
「みんな、今日は『ハロウィン』のお祭りに集まってくれてありがとうっキ! 楽しいお祭りにするっキ!」
 どうやら上手く言えたようです。みんなから拍手を沢山貰い、キリコはホッとしました。
「それではみなさん、乾杯しましょう!」
 メ~さんが言いますと、動物たちは、テーブルの上に並べられたコップを一つずつ取りました。そして、あの『異世界』の不思議な言葉をみんなで一斉に言いました。
「『トリック・オア・トリート!』」
「『ハッピーハロウィン!』」
「かんぱ~~~~~い!」
 楽器が得意な動物たちが、陽気な音楽を奏で出します。あっというまに辺りは賑やかになりました。

 動物たちは、大きなかぼちゃに入ったお菓子を、お祭りに来ていた全員に分け隔てなく配りました。もちろん、沢山のうにゃみのむしたちにもです。
 お菓子を貰った子供たちは大はしゃぎ。この日をどんなに待ち望んだことでしょう。
 食いしん坊のゾウマル君は、すぐ袋から取り出して食べようとしましたが、ゾウマル君のお母さんが「ゾウマル君、まずはお料理を頂いてからになさったら?」といいましたので、ゾウマル君はお菓子を食べるのをあきらめて、美味しいお料理から食べることにしました。

 大きな木のテーブルには、所狭しと沢山のおいしそうなかぼちゃ料理が並べられていました。
 ゾウマル君のお母さんが作った、かぼちゃスープをはじめ、かぼちゃがたっぷり入ったかぼちゃパイや、お口の中ですぐとろけてしまいそうなかぼちゃのソテー。サクっとした歯ごたえが楽しいかぼちゃの天ぷら。カリっとした皮に包まれたジューシーなかぼちゃの春巻き。かぼちゃとチーズをふんだんに使ったスペシャルサラダ。もちろん、かぼちゃを使ったゼリーやアイスクリームやパウンドケーキなどといった、魅力的なデザートも並べられています。
 それらのおいしそうなお料理を、それぞれが好きなものを好きなだけ取ってきて、好きな場所で食べました。

 ゾウマル君とゾウマル君のお母さんは、大きなお皿にお料理をたくさん乗せて、ものすごい勢いで食べていました。

 コマちゃんは、沢山のご馳走に見とれています。あまりに沢山のお料理なので、どれから食べようか迷ってしまいました。
「ん~、どれから食べようかな?」
 しばらくテーブルの上のお料理とにらめっこしていましたが、どこの動物さんがつくってくれたのでしょう? なんと、かぼちゃの煮物の中に油揚げが入っているものがあったのです。
 油揚げはコマちゃんの大好物。もう迷うことはありません。コマちゃんはそのお料理を最初に食べました。

 もっちいは、今日のために自分で作ってきたお餅を、みんなに振舞っていました。彼女はおもちを食べるのも作るもの大好きなのです。今回は、かぼちゃが主役の『カボおもち』を作ってみたようです。
「おいしい!」
「かぼちゃの味がすごくしていいね」
 なかなか好評のようです。

 リボンちゃんは、みんなにお化けの格好を見せびらかしていましたが、その内もっちいに呼ばれて、お料理を仲良く食べました。

 キリコとキナは、ゾウマル君のお母さんが作った、かぼちゃのスープがすごく気に入って、何杯もおかわりしていました。その後、自分達で用意した特別のデザート、バナナとコーヒーを沢山食べたり飲んだりしたのでした。

 動物村のお祭りは、特に決まった出し物などはありません。
 誰かが突然ポンと壇上に躍り出て、得意のものを披露したり、音楽に合わせて、みんなで流行の歌を歌ったり。あるものはランタンを持って広場を練り歩いたり、それを子供たちが追いかけたり。
 わいわい、がやがや、大人も子供も時間を経つもの忘れて、ハロウィンのお祭りを自由に楽しみました。

 時が経つのはなんて早いのでしょう。時計を見ると、子供たちが普段はとっくに寝ているような時間になっていました。
 キリコたちは、折角のお祭りなので、今日は大人みたいに夜遅くまで起きていようと思っていましたが、その内、だんだん眠たくなってきました。
 広場には、集会所となっている木のお家がありました。ゾウマル君のお母さんが、集会所に沢山の子供たちが眠れるような大きなベッドを用意してくれ、子供たちは一晩ここでみんなと一緒に眠ることになりました。そして、お布団に入るなりみんなすやすや、あっという間に眠ってしまいました。
 今日は本当に楽しいことが沢山ありました。きっと良い夢が見られることでしょう。

 子供たちが眠り、フクロウさんが「ホウ」と鳴いて、真夜中を知らせましたが、ハロウィンのお祭りはまだまだ続きます。
 そよ風さんたちも、ハロウィンの夜を満足げに吹き抜けていきました。

おしまい


※このお話を書かせていただく際
「ハロウィン」(2008年10月15日 (水) 22:10の版)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

(別窓が開きます)を参考にさせていただきました。


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