日めくり音楽帖
良い耳を作れるクラシックからポピュラー作品を
季節に合わせて紹介しています&日々のlessonとか
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6月 舟歌 ~四季より~2022/ 6/ 3(金)
1.

~四季より~ 6月 舟歌
浜辺で波を我々の足で愛撫させておくれ
輝く星は我々に悲しくひそかなあいさつをおくる…
詩:プレスチェーエフ

四季の中で最も有名でチャイコフスキーのピアノ曲と
いったらこの「舟歌」を一番に連想する人も多い人気曲
舟歌は多くの作曲家が題材に使い、多くはベニスのゴン
ドラ風な舟歌のリズム=8分の6拍子が主流だが、チャイ
コフスキーの「舟歌」はなんと4拍子で書かれている!
にもかかわらず伴奏リズムが小舟の櫓をこぐ流れが
ちゃんと表され、その上に物悲しい繊細なメロディが
美しく響く
中間部から絶え間なく降り続く雨脚のようなA楽節に
どうやって戻るのだろう?と思うほど、どんどん明るく
なり、なにもかもビッグなロシアの雄大な景色を高ら
かに歌うような力強さが続く
そして神秘的なブリッジから一気に現実に戻された
かのように静けさのAにすっと入り、星空に消えていく…
なんとも映像がよくわかる銘品!!

◆チャイコフスキー 四季より 6月 舟歌
https://www.youtube.com/watch?v=jcBNuH-Tdyo

◆画像:ロシアの真珠と呼ばれる夏のバイカル湖


白鳥 ~動物の謝肉祭より2022/ 5/18(水)
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「白鳥」は動物の謝肉祭の中で最も有名でチェロの代表曲
としてもよくよく知られている
チェロの美しさを「これでもかー」と輝かせているのは
チェロの高音だ!これが効いている!!
月夜に照らされて女王のように優雅に泳いでいる白鳥と
水面や水しぶきを伴奏のピアノが細かく演出している
一見、なんでもないようなただの美しさがいい、貴重!

作曲者のサン=サーンスは毒気のあるシャレやネタが
大好きで、14曲からなる「動物の謝肉祭」も友達が
集まる音楽会のために作り、パロディあり皮肉ありの
刺激的な作品ばかりの中で、この「白鳥」は唯一の
マジメな美しい曲☆ おふざけの中にこの一曲が入って
いることで、この組曲の完成度の高さが歴史に残った
気がする

◆サン=サーンス:白鳥 チェロ/YO・YOMA
https://www.youtube.com/watch?v=V2yszvJOe28

◆サン=サンーンス:白鳥 2台ピアノ
https://www.youtube.com/watch?v=h0njr0-Vh1c


5月 白夜(五月の夜) ~四季より~2022/ 5/10(火)
1.

~四季より~ 5月 白夜(五月の夜)
何という夜! 何という恍惚!
私の真夜中の国 お前に感謝する
何と新鮮で澄んでいることだろう 
この五月の爽やかさは!・・・
詩:フィエート

今の暦では白夜は6月だがロシアの古い暦に従うと
今の6月はまだ5月になるので「白夜」と言えば
5月に思われていた
北国の厳しい寒さがようやく終わり、完全な暗闇の
ない白夜が訪れるこの時期が最も恵まれたシーズンで
この曲も冬から解放され、美しい自然をたっぷり楽し
める幸福感に満ちている
静かに語りかけるように始まる幻想的な作品で中間部は
シューマン風なメロディもあり、短いながらも音色の
変化によって=奏者によってこの曲の語り口は大きく
異なる
冒頭のアルペジオを始め、キーをなでるように奏しない
と白いベールが即刻ゴワゴワの分厚いカーテンになって
しまう、、、が、まだ見ぬ白夜を想像するのは楽しい

◆画像:サンクトペテルブルク白夜祭りより
◆チャイコフスキー 四季より 5月 白夜
https://www.youtube.com/watch?v=Awwfd_QOXTE


4月 松雪草 ~四季より~2022/ 4/ 5(火)
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~四季より~ 4月 松雪草
明るい光が積もった雪を通して かすかに光り
こんなに青く清らかな 松雪草が輝いている
古い運命への涙の最後 そして幸福の夢への
最初のあこがれ…
詩:マイコフ

北国の人々にとっての春を待つ気持ちは格別で、春を
告げる花とされる松雪草は、輝かしい光だけでなく 
希望さえも与えてくれる
清らかな松雪草に春の訪れの喜びと、過ぎ去ったときを
回想する思いを託し、無言歌風の作品になっている

ところで松雪草はスノードロップ(雪のしずく)の和名だが、
学名はガランサス・ニバリスといい、ガランサスはギリシャ
語で「乳のように白い花」を意味し、ニバリスはラテン語の
「雪(nivis)」を語源としているらしい
ゆえにこんな言い伝えがある
「禁断の果実を食べてエデンの園を追われたアダムとイヴ
悲しむイヴをあわれんだ天使が、舞い落ちる雪をスノー
ドロップの花に変え「もうすぐ春がくるから絶望しては
いけませんよ」とふたりを慰めた」
そんなところから希望、慰めが花言葉になっているのか

◆チャイコフスキー 四季より 4月 松雪草
https://www.youtube.com/watch?v=wiE4Mx-BSNc


春の歌~無言歌集Op.62-22022/3/15(火)
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「無言歌集」とは文字通り「言葉のない歌」という意味で
歌曲風のメロディに簡単な伴奏をつけただけの、形式も
ごく単純な短い曲のことをいう
この名称はメンデルスゾーン(1809-47)自身が
考え出したものとされており、普通の人が日々の出来事や
感想を日記に書くのと同じような感覚で、「無言歌集」を
書いていった
時には旅先からの手紙の中に、楽曲の一部が書かれていた
こともあり、どの標題も分かりやすい名前がついているが
メンデルスゾーン自身がつけたものはほんのわずかで、
ほとんどは出版時に関係者がつけたものと言われる
全部で48(49?)曲もの小品を集めたこの「無言歌集」
のなかでも、1842年に作曲されたこの『春の歌』は特に
有名で、ピアノ以外にも、ヴァイオリンや他の楽器でもよく
演奏される
流れるようなロマン的でのどかなメロディは、いつも聴く
者を平和な気分にさせる
形式は単純だが伴奏様式は、メンデルスゾーンの天才ぶりを
思わせるもので、装飾音符を巧妙に使って今までにない美し
い効果を出した
いとも軽やかに流れるように奏するには大変難しく、力を
入れる、抜くの精巧な技術と耳の力が求められる
装飾音を柔らかい春風が頬を優しくなでるように演奏できれば
一人前!

◆春の歌~無言歌集Op.62-2:メンデルスゾーン
https://www.youtube.com/watch?v=5fcUBW3szik


3月 ひばりの歌 ~四季より~2022/3/1(火)
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~四季より~ 3月 ひばりの歌
空の光と輝きがまだ眠っていた花の上に落ちる
春のひばりの歌は明るく青い深みに響き渡る…
詩:マイコフ

ト短調の哀愁を帯びたメロディであっても、
春を告げるひばりと共に、ようやく冬から解放
される喜びを標題とするマイコフの詩を装飾音が
よく表している
このコロコロした装飾音をひばりのさえずりの
ように自然に表現するのは繊細なタッチが必要で
とても難しい ゴロゴロと重くなりやすく、
といって軽すぎてもダメ・・・チャイコフスキー
のピアノ曲は本当に美しいが難しい~
ところで「ひばり」は「晴れた日(日晴り)」に
さえずることに由来する説もあるらしい
「ひばり」といえば「美空ひばり」サンを思い
浮かべるが「美空ひばり」とはなんとポエジーな
名前だと改めて感心する
「美しい空」に「ひばり」が舞いながらさえずる!
やはりDivaそのものだ~~

◆チャイコフスキー 四季より 3月 ひばりの歌
https://www.youtube.com/watch?v=DOsoSUdTBPI


即興曲 D899 Op.90-32022/ 2/ 7(月)
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わずか31歳で亡くなる一年前に書かれたシューベルトの
即興曲Op.90は4曲からなる
中でも個人的に一番好きなのがこの第3曲★
果てしないアカネ雲に世界中が包まれているような
壮大で豊かなスケール
でも繊細で愁いを帯びながらも希望に向かう爽快さ!
これは一服の精神安定剤になっている
昔のドラマには、主人公やその周辺人物が、はっとする
「大切な話し」を会話する喫茶店やレストランのBGMに
よく流れていた
物語の大きな転機となるシーンに相応しい曲でもある

◆シューマン:即興曲 D899 Op.90-3 Ges dur
https://www.youtube.com/watch?v=FxhbAGwEYGQ

◆画像上:シューベルト
◆画像下:ホロヴィッツ
ウクライナ生れの歴史に残る米の名ピアニスト