日めくり音楽帖
良い耳を作れるクラシックからポピュラー作品を
季節に合わせて紹介しています&日々のlessonとか
組曲『展覧会の絵』よりプロムナード
1.

「展覧会の絵」はロシア国民学派を代表する作曲家、ムソル
グスキー(1839ー81)の1874年の作品で、友人の遺作展に
刺激されてこの曲を書いたといわれている
10曲の独立した曲でできているピアノ組曲だが、その管弦
楽的な響きに着目する多くの者が、魅力を感じて管弦楽用に
編曲している
中でもラヴェルの編曲(1922年)は特に有名で原曲の持っ
ている音楽的な可能性を縦横に引き出した傑作として、現在
ではほとんどラヴェルのオーケストレーションで演奏される
第1曲目のプロムナードは5拍子と6拍子が交代する力強い
リズムと、一度聴いたら忘れられないインパクトあるメロディ
は多分にロシアの民族的響きが使われている

◆組曲『展覧会の絵』プロムナード:ピアノソロ
https://www.youtube.com/watch?v=AjsVeofiQdw

◆組曲『展覧会の絵』プロムナード:管弦楽
https://www.youtube.com/watch?v=TJd67EBR2R0


空気の精(シルフィード)
1.

「空気の精」は乾いた空気、肌寒い西風を感じさせてくれる
デリケートな作品
多くの作曲家が似たようなタイトルの作品を作っているが
ピアノでよく知られているのは、ブルグミュラーとグリーグ
だと思う
ブルグミュラーの空気の精(風の精とも呼ばれる)は、薄暗い
森の中から空気の精がどこからともなくやってきて、森に遊び
に来た子供たちにちょっといたずらしてるみたい…などと
私のディズニーっぽいイメージを生徒に話すと、共感してくれ
たり、森じゃなくて広い山だと思う、とかいろんな意見が出て
おもしろい
グリーグの空気の精は、ブルグミュラーに比べてもっと大人っぽ
い緊張感とセンスが要る「取扱要注意」な銘品

◆ブルグミュラー:空気の精~18の練習曲より
https://www.youtube.com/watch?v=WeO5fnUb9NU

◆グリーグ:空気の精~抒情小曲集 第7集より
https://www.youtube.com/watch?v=NOIKu_umHVg


木星~組曲 惑星より
1.
2.

組曲「惑星」は全部で7曲あり、この「木星」は
その中で最も大規模で構成の変化に富んでいる
晴々とした魅力的な4主題を持ち、いたるところ
に喜びが満ち溢れている
ホルスト(1874-1934)の代表曲であるこの
組曲が1902年に全曲が正式初演された際、
「これらの曲は、諸惑星の占星術的な意義が着想
のきっかけになっているが、その中には標題音楽
は全然ない。そして同名の神話の神とも関係ない。
もしも、曲に対するなんらかの手引きが必要なら、
各曲のサブ・タイトルが広義に解釈されれば、
それで充分だろう。
例えば、木星は普通、喜びをもたらすが、同時に
宗教的な、あるいは国民的な祝祭に結ばれる、と
いう儀式的なたぐいの「喜び」をも表現している。
また、土星は肉体的衰退だけでなく「成就」の意味
もあり、水星は心の象徴である」
と語った。
「木星」の急速な第1部が終わった第2部
(アンダンテ・マエストーソ、変ホ長調)は
一番人気があり、厳粛で民謡風で親しみやすく、
晴れの祝典を想わせる第4主題が堂々と展開される
太陽系の中で大きさ、質量ともに最大の惑星である
「木星」はジュピター・快楽の神とも呼ばれ、
やはり惑星のドンのようなスケールの広さを感じる

◆ホルスト:組曲「惑星」より第5曲 木星
https://www.youtube.com/watch?v=ytQfhqWmr9M


ハンガリー舞曲 第5番
1.

ヴァイオリニストのレメーニの伴奏者としてドイツ
演奏旅行を行った際、ロマ(ジプシー)の民族音楽
について知ることとなったブラームス(1833-97)
は、これをハンガリーの民族音楽であると思い、
採譜・編曲し、1869年に、2集からなる第1-10番が
出版されて好評を得た
後には更に2集からなる第11-21番も出版され、現在
知られる21曲からなる「ハンガリー舞曲集」となった
緩急が激しい熱い民族の血が騒ぐ一曲!

◆ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番 Fis moll
https://www.youtube.com/watch?v=Vex6KhBAeKQ

◆画像:40代頃のブラームス


飛翔:「幻想小曲集Op.2」より
1.

シューマンが27歳の1837年に作曲した「幻想小曲集」は
「幻想曲」「子供の情景」「クライスレリアーナ」など
と共にクララとの大恋愛の中から生まれた。
1839年にクララと結婚したものの、クララの父親
(シューマンの音楽の師ヴィーク)は最後まで猛反対で
ついに父親の同意なしに結婚を成立させる裁判を起こし
ようやく結ばれた。
シューマンはクララとの恋愛中から結婚後に、ピアノ曲、
歌曲、交響曲、室内楽を書きまくり、最高峰としては
もっとも早く書かれたピアノ曲と歌曲だと言われる。
幻想小曲集は、標題のついている8曲からなり、文学や
哲学に造詣の深かったシューマンらしい、独自の宇宙観
にあふれている。

◆シューマン:幻想小曲集 Op.12より第2曲 飛翔
https://www.youtube.com/watch?v=0BQLMQ0k9_I


紡ぎ歌 ブルグミュラー
1.

ブルグミュラーの紡ぎ歌は「18の性格的な練習曲集」に
入っている一曲
18はアラベスクや貴婦人の乗馬などの25の練習曲集より、
少し難易度が上がり、よりピアニスティックな作風で
親しみやすいメロディと情景描写がわかりやすい

ブルグミュラー(1806-1874)はドイツで生まれ、20代
でパリに進出し、ピアノ作品の他、オペラやバレエ音楽等
で活躍した

◆ブルグミュラー:紡ぎ歌Op.109-18
https://www.youtube.com/watch?v=AMcZX6Ye0Qk


紡ぎ歌 無言歌集より
1.

無言歌とはピアノ独奏用の歌のない音楽、音だけの
ポエム、日記のようなもので、メンデルスゾーン
(1809-1842)は生涯に渡り、1巻6曲ずつ、8巻
の計48曲作った
「紡ぎ歌」は1845年作曲の第6巻に入り、「紡ぎ歌」
というタイトルはメンデルスゾーンの命名ではないが
楽譜の冒頭に Spinnerlied genannt.(独)
《紡ぎ歌のように》とあり、当時から紡ぎ歌と呼ばれて
流行っていた
クルクル絶え間なく回る糸車から細かい糸を紡ぐ作業は
大変根気が要り、よく歌を歌いながら作業していたこと
から、紡ぎ歌的な作品は多数ある
いかにも糸車が威勢よく回るのがよく見える楽しい作品!

◆メンデルスゾーン:無言歌集 第6巻Op67-No.4 紡ぎ歌

ラフマニノフが演奏している動画
https://www.youtube.com/watch?v=W3ImW6jw4W4
2025 - 11






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