日めくり音楽帖
良い耳を作れるクラシックからポピュラー作品を
季節に合わせて紹介しています&日々のlessonとか
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モンタギュー家とキャピュレット家2023/4/13(木)
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1938年にプロコフィエフが作曲したバレエ「ロメオ
とジュリエット」はピアノソロとしての10の小品も
作られ、「モンタギュー家とキャピュレット家」は
ロメオとジュリエットを代表する一曲
モンタギュー家はロメオの実家、キャピュレット家は
ジュリエットの実家で両家はヴェローナの二大名家で
もあり大昔から敵対関係にあった
イタリアの歴史から教皇派と皇帝派の争い説?なども
あるが、原作のシェークスピアの「ロメオとジュリ
エット」には何の説明もないらしい
しかし、この曲を聴くと不思議と積もり積もった恨み、
憎しみ、あるいはヴェローナの大公のテーマと呼ばれ
る主題から威圧感、重厚感が漂い、一度聴いたら忘れ
られない刺激的な銘品
この曲はバレエの第1幕、第4場、舞踏会の音楽で、
騎士と貴婦人たちの舞踏の音楽として流れる
中間部はまだ少女のジュリエットが、両親が結婚を勧め
る青年パリスと淡々と踊る感傷的な旋律が美しい

◆モンタギュー家とキャピュレット家 Op.75-6
第6曲Allegro pesante
https://www.youtube.com/watch?v=kfFl1t2LZec


水の戯れ2022/ 6/24(金)
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水のきらめきやその動きは印象主義の画家たちが好んで
取り上げた題材のひとつだが、ラヴェルはそうした
一瞬一瞬変化する美しい水の戯れを大胆で繊細な手法に
よって、溢れるような詩情を表現している
「水の戯れ」はラヴェルの名前を最初に高めた作品で、
同時に音楽史上でも、印象主義による最初の作品という
記念すべき傑作
まだパリ音楽院に在学中だったラヴェルは、フランスの
作曲家にとって最も重要な、ローマ大賞というコンクール
に毎年参加したが、その度に落選していた
ラヴェルの革新的な音楽が保守的な審査員に理解できな
かったためだとも言われている
1901年(ラヴェル26歳)に作曲されたのがこの曲は
先輩ドビュッシーが印象主義による作品「版画」を書く
2年前のことだった
5分少々と短いながらも、ラヴェルのピアノ音楽の「味」
が凝縮されているが、リストの「エステ荘の噴水」から
影響を受けているとも言われる
ドビュッシーも「エステ荘の噴水」からのヒントで
「水に映る影(映像第一集)」または「水の反映」とも
訳される曲を書いている
ドビュッシーの「水の反映」は、ありのままの自然な水の
動きを書いているのに対し、ラヴェルの「水の戯れ」は、
制御された噴水、ファンタジーを連想させる作品

◆水の戯れ
1901年作曲、パリ音楽院時代の恩師ガブリエル・
フォーレに献呈
形式:ソナタ形式に近い循環形式

◆水の戯れ:辻井伸行
https://www.youtube.com/watch?v=mFyhcACV02c


プレリュード ~ベルガマスク組曲2022/ 5/26(木)
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プレリュードはベルガマスク組曲の第一曲目として、
全体の情緒、雰囲気を誘う絵画的な作品
曲はヘ長調四分の四拍子Moderatoで、自由に構成
された複合三部形式
冒頭主要主題はドビュッシーが好んで使用した長調、
短調何れともつかない性格の弱い和音による音階的
旋律で始まり、展開していくにつれ、経過音群は
ドビュッシー以前の作曲家の作品には現れない程
独自のもの
「ベルガマスク」とはイタリア北部のベルガモ地方
に由来すると言われる
ドビュッシーは奨学金を経てローマに留学し、帰国
後にこの組曲を作ったので、そのように言われるが
諸説あり
城壁に囲まれた中世の香り漂うベルガモ地方は
このプレリュードや月の光がよく似合う

◆ドビュッシー:プレリュード ~ベルガマスク組曲
https://www.youtube.com/watch?v=LuF9AvhNoqg

◆画像:ベルガモ風景


幻想曲「さくら さくら」2022/ 3/29(火)
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平井康三郎(1910-2002)が1971年に発表した
幻想曲「さくらさくら」の原曲は近世箏曲の《さくら》
で、「さくら さくら 弥生の空は 見渡すかぎり
霞か雲か 匂いぞ出ずる いざや いざや 見にゆかん」
の歌詞は、明治21(1888)年に出版された『箏曲集』
に掲載された
この《さくら》を基に、平井は変奏曲風の《幻想曲
「さくらさくら」》を仕上げた
パッと咲いてパッと散る桜の儚さを上品に表現した
このピアノソロ作品は演奏会でもよく好まれている

◆平井康三郎:幻想曲「さくら さくら」
https://www.youtube.com/watch?v=RXy84-VrT9U


雪は踊っている2022/1/14(金)
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「雪は踊っている」はドビュッシーの組曲「子供の領分」の
中の一曲で、この組曲は1906年から08年にかけて書かれた
ドビュッシーとエンマ・バルダックとの間に生まれた一人娘
のクロード=エンマ に献呈された
楽曲は冒頭から絶えず16分音符を交互に弾き続ける細かさで、
かわいい雪ん子ちゃんが晴れた雪景色で遊んでいるのどかな
イメージではなく、容赦なく降り続ける雪が舞い踊っている
ように演奏中の手の動きでも感じる
とても難しい!でも素晴らしい!!

◆ドビュッシー 雪は踊っている ~子供の領分より~
https://www.youtube.com/watch?v=11TNjZ5s9d0

◆人物画像:ドビュッシーと娘のエンマ



シチリアーナ~リュートのための古い舞曲とアリアより2021/11/23(火)
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「リュートのための古い舞曲とアリア」は三つの組曲が
ありリュートで演奏される作品ではなく、15、6世紀頃
の管弦楽器であるリュートで、かつて演奏されていた曲
を様々な編成の管弦楽用に編曲したもの
作曲者のレスピーギ(1879-1936)は、近代イタリア
の重要な作曲家で、代表作は「ローマの松」等
レスピーギは1913年にローマのサンタ・チェチリア音楽
院教授になってから、その図書館で昔の作曲家の作品を
調べるのを楽しみとしていた
そのなかから気に入ったものを自己の管弦楽法で編曲し、
近代的あるいは新古典主義風に創作した
この曲もそのひとつで、中でも第三楽章「シチリアーナ」
はシチリア島起源の舞曲をモチーフに、その抒情性と儚さ
が人気を博し、単独でもよく演奏される

◆シチリアーナ:リュートのための古い舞曲とアリア
より 第三組曲 第三楽章
https://www.youtube.com/watch?v=PXfHtYzRZjU


道化師の朝の歌2021/11/18(木)
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情熱などという湿ったものはビニール袋に入れて捨てる
夢などという不純物はさっさと燃やす
思い出などというあいまいなものは一気にちょん切る
内なる声などという実態のないものには一切耳をかさない

とある音楽評論家がラベルの作品イメージ上記のように
評され、誠にごもっとも!と合点している
モーリス・ラベル(1875-1937)フランスの作曲家で
その作品の数々はCool&Hotばかり… 
冷たいホットーコーヒーorあったかいアイスコーヒー?
のような不思議さと洗練さが魅力
道化師の朝の歌は1904~5年に作られたピアノのため
の小品集【鏡】のなかの第4曲目で、単独としてもよく
演奏される
【鏡】は全5曲からなり、演奏も曲想も難曲として有名
ラヴェル自身は【鏡】について「これらは私の和声的進展
の中でもかなり大きな変化を示し、それまでの私の作風に
最もよく慣れ親しんでいた音楽家でさえ当惑したほどだった」
と自伝に残している
「道化師の朝の歌」は、華麗なピアノ書法、雰囲気の移り気
な変化、エネルギー溢れるリズム、そして輝くような色彩的
和声で、道化師を表現している
ラベルの母親はバスク人でラベルもバスク地方で生まれた
生涯母親を敬愛し、スペイン好みだった
1918年にはこの曲を管弦楽用にラヴェルが編曲している
「道化師の朝の歌」 Alborada sel gracioso
アルボラーダ(alborada)とは古いスペイン宮廷の朝に行われ
た行事で音楽を指す他に「暁」「起床ラッパ」の意もある
管弦楽で聴くとより色彩の濃淡まで浮き出ておもしろい!

◆ラベル:道化師の朝の歌 ピアノソロ
https://www.youtube.com/watch?v=wCvIWUBj5yg

◆ラベル:道化師の朝の歌 管弦楽
https://www.youtube.com/watch?v=JPLYhwRx-gA
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