日めくり音楽帖
良い耳を作れるクラシックからポピュラー作品を
季節に合わせて紹介しています&日々のlessonとか
2024 - 5



1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31

6月 舟歌 ~四季より~2022/ 6/ 3(金)
1.

~四季より~ 6月 舟歌
浜辺で波を我々の足で愛撫させておくれ
輝く星は我々に悲しくひそかなあいさつをおくる…
詩:プレスチェーエフ

四季の中で最も有名でチャイコフスキーのピアノ曲と
いったらこの「舟歌」を一番に連想する人も多い人気曲
舟歌は多くの作曲家が題材に使い、多くはベニスのゴン
ドラ風な舟歌のリズム=8分の6拍子が主流だが、チャイ
コフスキーの「舟歌」はなんと4拍子で書かれている!
にもかかわらず伴奏リズムが小舟の櫓をこぐ流れが
ちゃんと表され、その上に物悲しい繊細なメロディが
美しく響く
中間部から絶え間なく降り続く雨脚のようなA楽節に
どうやって戻るのだろう?と思うほど、どんどん明るく
なり、なにもかもビッグなロシアの雄大な景色を高ら
かに歌うような力強さが続く
そして神秘的なブリッジから一気に現実に戻された
かのように静けさのAにすっと入り、星空に消えていく…
なんとも映像がよくわかる銘品!!

◆チャイコフスキー 四季より 6月 舟歌
https://www.youtube.com/watch?v=jcBNuH-Tdyo

◆画像:ロシアの真珠と呼ばれる夏のバイカル湖


プレリュード ~ベルガマスク組曲2022/ 5/26(木)
1.
2.

プレリュードはベルガマスク組曲の第一曲目として、
全体の情緒、雰囲気を誘う絵画的な作品
曲はヘ長調四分の四拍子Moderatoで、自由に構成
された複合三部形式
冒頭主要主題はドビュッシーが好んで使用した長調、
短調何れともつかない性格の弱い和音による音階的
旋律で始まり、展開していくにつれ、経過音群は
ドビュッシー以前の作曲家の作品には現れない程
独自のもの
「ベルガマスク」とはイタリア北部のベルガモ地方
に由来すると言われる
ドビュッシーは奨学金を経てローマに留学し、帰国
後にこの組曲を作ったので、そのように言われるが
諸説あり
城壁に囲まれた中世の香り漂うベルガモ地方は
このプレリュードや月の光がよく似合う

◆ドビュッシー:プレリュード ~ベルガマスク組曲
https://www.youtube.com/watch?v=LuF9AvhNoqg

◆画像:ベルガモ風景


白鳥 ~動物の謝肉祭より2022/ 5/18(水)
1.
2.

「白鳥」は動物の謝肉祭の中で最も有名でチェロの代表曲
としてもよくよく知られている
チェロの美しさを「これでもかー」と輝かせているのは
チェロの高音だ!これが効いている!!
月夜に照らされて女王のように優雅に泳いでいる白鳥と
水面や水しぶきを伴奏のピアノが細かく演出している
一見、なんでもないようなただの美しさがいい、貴重!

作曲者のサン=サーンスは毒気のあるシャレやネタが
大好きで、14曲からなる「動物の謝肉祭」も友達が
集まる音楽会のために作り、パロディあり皮肉ありの
刺激的な作品ばかりの中で、この「白鳥」は唯一の
マジメな美しい曲☆ おふざけの中にこの一曲が入って
いることで、この組曲の完成度の高さが歴史に残った
気がする

◆サン=サーンス:白鳥 チェロ/YO・YOMA
https://www.youtube.com/watch?v=V2yszvJOe28

◆サン=サンーンス:白鳥 2台ピアノ
https://www.youtube.com/watch?v=h0njr0-Vh1c


5月 白夜(五月の夜) ~四季より~2022/ 5/10(火)
1.

~四季より~ 5月 白夜(五月の夜)
何という夜! 何という恍惚!
私の真夜中の国 お前に感謝する
何と新鮮で澄んでいることだろう 
この五月の爽やかさは!・・・
詩:フィエート

今の暦では白夜は6月だがロシアの古い暦に従うと
今の6月はまだ5月になるので「白夜」と言えば
5月に思われていた
北国の厳しい寒さがようやく終わり、完全な暗闇の
ない白夜が訪れるこの時期が最も恵まれたシーズンで
この曲も冬から解放され、美しい自然をたっぷり楽し
める幸福感に満ちている
静かに語りかけるように始まる幻想的な作品で中間部は
シューマン風なメロディもあり、短いながらも音色の
変化によって=奏者によってこの曲の語り口は大きく
異なる
冒頭のアルペジオを始め、キーをなでるように奏しない
と白いベールが即刻ゴワゴワの分厚いカーテンになって
しまう、、、が、まだ見ぬ白夜を想像するのは楽しい

◆画像:サンクトペテルブルク白夜祭りより
◆チャイコフスキー 四季より 5月 白夜
https://www.youtube.com/watch?v=Awwfd_QOXTE


シャレード2022/5/6(金)
1.
2.

本日公開された映画「オードリー・ヘプバーン」は
ぜひ見てみたい映画のひとつ
ハリウッド黄金時代の大女優ヘプバーンの主演映画は
ほとんど見ているが、中でも映画の主題曲で好きなのは
H・マンシーニ作曲の「シャレード」や「ムーンリバー」
などだが今回は「シャレード」を取り上げる
とても大人っぽいサウンドで、テーマのずらし和音が印象的
ずらし和音とはBASSが半音ずつ順次進行で下がってくる
作曲書法で、この曲以外にもよく使われるが、映画の物語と
最もマッチしているのが透明感のサビのメロディ!!だと感じる

冒頭の曲調からして映画のストーリーは、悲恋ものか、深刻な
シーンが続きそうに予想されるが、私は曲から知ってこれが
映画主題歌だとわかり、実際にシャレードを見たらビックリ!

映画自体はミステリーとはいえコメディー風で、どこか人を
食ったような他愛のない物語だった
なんか最初はストーリーと合わない気がしたが、何度か映画を
見てるうち、え?そーなの的な内容にこのサウンドを被せた
センスに感動!さえしてきた

全面的にオシャレで粋な感じがするのは、ひとえにキャストの
存在感に他ならない
当時、この映画のファッションがパリモードとして有名にも
なったそうだが、それはオードリーだったからだと思う
今見ても半世紀以上前のファッションでも全く遜色がない

シャレードとは「見え透いた見せかけ、偽装、こっけいな茶番、
ジェスチャー・ゲーム」の意味で、茶番をものすごい高級に
引き上げた粋さがこの映画の最大の魅力だと思う
5月4日はオードリー・ヘプバーンの誕生日だそう

★映画「シャレード」主題歌の和訳

私達がジェスチャー・ゲームを楽しんだ時
私達は 子供たちのようにポージングしていた
ゲームに興じて 命題を演じる
パートを推理して 私達は楽しんだ

ああ 謎は解け やったわ
もう終わりの手前まで来たけど 最善を尽くすわ
恋人が仮装をしている間は 恋人同士で居られる

運命の糸に操られ 私が振り向くと 
貴方は居なくなった後だった
オルゴールが鳴っている間に 暗い舞台の袖からね

悲しい小さなセレナーデ 私の心が奏でる歌
私は未だそれを聞いている ベストを尽くすわ
シャレード

◆映画「シャレード」
https://www.youtube.com/watch?v=pQ8uuBtOzXM


続々 鍵盤の魔術師 カツァリス2022/ 5/ 2(月)

アンコールも多くの作品を演奏された。
「音楽でのボイコットの反対してます
音楽は平和と人の結びつきをつなげるものです
なので2人のセルゲイの曲を弾きます」とメッセージがあり、
セルゲイ・ボルトキエヴィチ(ウクライナ)
セルゲイ・ラフマニノフ(ロシア)の作品の他、
新しいCDより
・ギリシアの島々の8つの舞曲より
ヤニスコンサタンツィニデス
・ショパン ワルツ7番 cis moll
・桜の主題による即興曲
と大盤振る舞い!
カツァリスの指はどちらかというと男性にしては小さ目で
きゃしゃなように見えたが、迫力あるffから儚げなppまで
自由自在に音を紡ぎ出す・・・やっぱり鍵盤の魔術師だった。
そしてYAMAHAの新機種での音も特に低音がいい音だった。




続 鍵盤の魔術師 カツァリス2022/ 4/30(土)

プログラムの後半はC.サン=サーンスの
動物の謝肉祭14曲すべて ピアノソロで!
編曲もカツァリス自身も携わったよう。
11曲目の「ピアニスト」は、ヘタクソな
ピアノを繰り返しおんなじところを練習
してるヤツも、まるで変わった動物の
一種である、とサン=サーンスの痛烈な
皮肉を込めた一曲だが、これは管弦楽では
ピアノソリストがわざとヘタクソに、音階
練習のようなメロディを弾いて、観客と共に
ニヤニヤするシーンだが、プロピアニストが
いくらヘタ風に弾いても、やっぱりうまい。
カツァリスも同様で、わざと音を外したり
サービス精神旺盛に、カタコトの日本語で
「モウ、ヤリタクナイヨー」とセリフまで
入れてくれた。
最後はサン=サーンスの交響曲3番op78R176
よりII a II b だったが、これが大変な難曲で
そもそも交響曲をソロ演奏するだけでも
とてつもないパッションとメカニックが必要で
圧倒された。
ー続ー