日めくり音楽帖
良い耳を作れるクラシックからポピュラー作品を
季節に合わせて紹介しています&日々のlessonとか
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旅愁2021/11/17(水)

『旅愁』をずっと文部省唱歌だと思っていたが、原曲は
オードウェイだと知って驚いた記憶がある
オードウェイ(1824-1880)は、アメリカの音楽家で
フォスターやワーク(大きな古時計の作曲者)と同時期
に活躍した
本業の医者の仕事をしながら作曲、楽譜出版等の音楽
活動も行った
この明るくて爽やかなメロディに、切ない歌詞がついた
だけで、大変悲し気な曲になるのは歌詞の魔力だと思う
アメリカでの原曲歌詞は、もっと軽い母を慕う歌だった
といわれているが、明治40年(1907年)に日本の詩人
「犬童球渓(いんどう きゅうけい)」が訳詩し、音楽
教科書で取り上げられて以来、急速に浸透し、今では
完全に日本の歌になった
犬童球渓は熊本人吉市出身で苦学の末、東京音楽学校
(現芸大)を卒業後、各地を転々とし、新潟の女学校
勤務時代にこの訳詩を手がけた
故郷を遠く離れた北国から、自身の境遇の苦悩などを
つづったものだともいわれる
また、林芙美子の『放浪記』の冒頭にも出てくること
でも広く知られる
林芙美子著「放浪記」より
私は北九州の或る小学校で、こんな歌を習った事があった
『更けゆく秋の夜 旅の空の わびしき思いに 一人悩む
恋しや古里 なつかし父母』
私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。
父は四国の伊予の人間で、太物の行商人であった。
母は、九州の桜島の温泉宿の娘である。
母は他国者と一緒になったと云うので、鹿児島を追放されて
父と落ちつき場所を求めたところは、山口県の下関と云う処
であった。私が生まれたのはその下関の町である。
故郷に入れなかった両親を持つ私は、したがって旅が古里で
あった。それ故、宿命的に旅人である私は、この恋しや古里
の歌を随分侘しい気持ちで習ったものであった。

◆旅愁:倍賞千恵子さんの歌(発音がすっごく美しい!)
https://www.youtube.com/watch?v=ak7IfDqvaPY


ハンガリー舞曲 第5番2021/11/16(火)
1.

ヴァイオリニストのレメーニの伴奏者としてドイツ
演奏旅行を行った際、ロマ(ジプシー)の民族音楽
について知ることとなったブラームス(1833-97)
は、これをハンガリーの民族音楽であると思い、
採譜・編曲し、1869年に、2集からなる第1-10番が
出版されて好評を得た
後には更に2集からなる第11-21番も出版され、現在
知られる21曲からなる「ハンガリー舞曲集」となった
緩急が激しい熱い民族の血が騒ぐ一曲!

◆ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番 Fis moll
https://www.youtube.com/watch?v=Vex6KhBAeKQ

◆画像:40代頃のブラームス


飛翔:「幻想小曲集Op.2」より2021/11/13(土)
1.

シューマンが27歳の1837年に作曲した「幻想小曲集」は
「幻想曲」「子供の情景」「クライスレリアーナ」など
と共にクララとの大恋愛の中から生まれた。
1839年にクララと結婚したものの、クララの父親
(シューマンの音楽の師ヴィーク)は最後まで猛反対で
ついに父親の同意なしに結婚を成立させる裁判を起こし
ようやく結ばれた。
シューマンはクララとの恋愛中から結婚後に、ピアノ曲、
歌曲、交響曲、室内楽を書きまくり、最高峰としては
もっとも早く書かれたピアノ曲と歌曲だと言われる。
幻想小曲集は、標題のついている8曲からなり、文学や
哲学に造詣の深かったシューマンらしい、独自の宇宙観
にあふれている。

◆シューマン:幻想小曲集 Op.12より第2曲 飛翔
https://www.youtube.com/watch?v=0BQLMQ0k9_I


モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲2021/11/ 9(火)
1.

モーツァルトがパリ滞在中の22歳(1778年)のときに
ギーヌ公爵とハープを習っていたその令嬢からの依頼で
書いた作品で、少なくとも周知の古典協奏曲の中では
異例な組み合わせの協奏曲が生まれた
とはいえ、18世紀末頃のパリでは、マリー・アントワ
ネット以下、上中流夫人、令嬢たちがたしなみとして
ハープを演奏することがトレンドだった
モーツァルトはフルートがむしろ嫌いだった(らしい)
しハープを弾いたためしもなかったが、霊感の非凡さ
から一気にハープを味方につけ、こんなにも優美な
ロココ趣味を音楽で表した

◆モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲
https://www.youtube.com/watch?v=4oj_2Lmb23A


ヘンデル/ハープ協奏曲 Bdur Op.4-62021/11/8(月)
1.
2.

この作品はヘンデルのような大作曲家の手になる
当ジャンル初めてのものとして絶大な価値、支持を
持っている
1736年ロンドンのガーデン劇場で初演されたオラト
リオ【アレクサンダーの饗宴】の幕間に演奏された
(諸説あり)

爽やかな心地よい風が広い庭園の向こうから吹いて
くるような、なんとも高貴な第一楽章が美しい
日本でも以前は皇室関連のニュースのBGMに、必ず?
といっていいほど流れていた
ローブデコルテとティアラが最もよく似合う曲☆彡

◆ヘンデル:ハープ協奏曲 Bdur Op.4-6 HWV-294a
https://www.youtube.com/watch?v=MqnYwG6-_kU


紡ぎ歌 ブルグミュラー2021/11/ 4(木)
1.

ブルグミュラーの紡ぎ歌は「18の性格的な練習曲集」に
入っている一曲
18はアラベスクや貴婦人の乗馬などの25の練習曲集より、
少し難易度が上がり、よりピアニスティックな作風で
親しみやすいメロディと情景描写がわかりやすい

ブルグミュラー(1806-1874)はドイツで生まれ、20代
でパリに進出し、ピアノ作品の他、オペラやバレエ音楽等
で活躍した

◆ブルグミュラー:紡ぎ歌Op.109-18
https://www.youtube.com/watch?v=AMcZX6Ye0Qk


愛の喜び マルティーニ2021/11/1(月)
1.

「愛の喜び」(「愛の喜びは」と表記されることもあり)は
秋の乾いた青天に似合う美しいメロディの歌
作曲者のマルティーニ(1741-1816)はモーツァルトより
15歳年上のドイツ出身のフランスの作曲家で宮廷楽長や
最も重要な劇場監督として活躍した
愛の喜びは代表作で、J.P.クラリスが作詞し、イタリア語の
歌詞でも歌われる
エルビス・プレスリーの「好きにならずにいられない」の
原曲でもあり、タイトルとメロディの温かさから日本でも
よく結婚式のBGM等に使用されるが、実は切ない失恋の歌!

「愛の喜びは一瞬しか続かない 別れの悲しみは生涯続く
 私はつれないシルヴィのためにすべてを捨てた
 彼女は私を捨て他の男のもとに去った
 愛の喜びは一瞬しか続かない 別れの悲しみは生涯続く」

ゆえに「愛の喜び」よりも「愛の喜びは」の方が合っている⁈

◆愛の喜び:ナナ・ムスクーリ(歌)
https://www.youtube.com/watch?v=kpnlQPH1UHU

◆好きにならずにいられない
Can't Help Falling In Love:エルビス・プレスリー
https://www.youtube.com/watch?v=_VOvw5UX0OU