日めくり音楽帖
良い耳を作れるクラシックからポピュラー作品を
季節に合わせて紹介しています&日々のlessonとか
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春の歌~無言歌集Op.62-22022/3/15(火)
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「無言歌集」とは文字通り「言葉のない歌」という意味で
歌曲風のメロディに簡単な伴奏をつけただけの、形式も
ごく単純な短い曲のことをいう
この名称はメンデルスゾーン(1809-47)自身が
考え出したものとされており、普通の人が日々の出来事や
感想を日記に書くのと同じような感覚で、「無言歌集」を
書いていった
時には旅先からの手紙の中に、楽曲の一部が書かれていた
こともあり、どの標題も分かりやすい名前がついているが
メンデルスゾーン自身がつけたものはほんのわずかで、
ほとんどは出版時に関係者がつけたものと言われる
全部で48(49?)曲もの小品を集めたこの「無言歌集」
のなかでも、1842年に作曲されたこの『春の歌』は特に
有名で、ピアノ以外にも、ヴァイオリンや他の楽器でもよく
演奏される
流れるようなロマン的でのどかなメロディは、いつも聴く
者を平和な気分にさせる
形式は単純だが伴奏様式は、メンデルスゾーンの天才ぶりを
思わせるもので、装飾音符を巧妙に使って今までにない美し
い効果を出した
いとも軽やかに流れるように奏するには大変難しく、力を
入れる、抜くの精巧な技術と耳の力が求められる
装飾音を柔らかい春風が頬を優しくなでるように演奏できれば
一人前!

◆春の歌~無言歌集Op.62-2:メンデルスゾーン
https://www.youtube.com/watch?v=5fcUBW3szik


3月 ひばりの歌 ~四季より~2022/3/1(火)
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~四季より~ 3月 ひばりの歌
空の光と輝きがまだ眠っていた花の上に落ちる
春のひばりの歌は明るく青い深みに響き渡る…
詩:マイコフ

ト短調の哀愁を帯びたメロディであっても、
春を告げるひばりと共に、ようやく冬から解放
される喜びを標題とするマイコフの詩を装飾音が
よく表している
このコロコロした装飾音をひばりのさえずりの
ように自然に表現するのは繊細なタッチが必要で
とても難しい ゴロゴロと重くなりやすく、
といって軽すぎてもダメ・・・チャイコフスキー
のピアノ曲は本当に美しいが難しい~
ところで「ひばり」は「晴れた日(日晴り)」に
さえずることに由来する説もあるらしい
「ひばり」といえば「美空ひばり」サンを思い
浮かべるが「美空ひばり」とはなんとポエジーな
名前だと改めて感心する
「美しい空」に「ひばり」が舞いながらさえずる!
やはりDivaそのものだ~~

◆チャイコフスキー 四季より 3月 ひばりの歌
https://www.youtube.com/watch?v=DOsoSUdTBPI


即興曲 D899 Op.90-32022/ 2/ 7(月)
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わずか31歳で亡くなる一年前に書かれたシューベルトの
即興曲Op.90は4曲からなる
中でも個人的に一番好きなのがこの第3曲★
果てしないアカネ雲に世界中が包まれているような
壮大で豊かなスケール
でも繊細で愁いを帯びながらも希望に向かう爽快さ!
これは一服の精神安定剤になっている
昔のドラマには、主人公やその周辺人物が、はっとする
「大切な話し」を会話する喫茶店やレストランのBGMに
よく流れていた
物語の大きな転機となるシーンに相応しい曲でもある

◆シューマン:即興曲 D899 Op.90-3 Ges dur
https://www.youtube.com/watch?v=FxhbAGwEYGQ

◆画像上:シューベルト
◆画像下:ホロヴィッツ
ウクライナ生れの歴史に残る米の名ピアニスト


2月 謝肉祭 ~四季より~2022/2/1(火)
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~四季より~ 2月 謝肉祭
もうすぐ にぎやかなマースレンニッツァ!
騒ぎて歩きし ゆかいなお祭り ざわめくよ!
詩:ヴャゼムスキィ

ロシア語でマースレンニッツァと呼ばれる謝肉祭は、陽気な
集い、遊び、乗馬、ブリヌィ(クレープ)作りなどで時を
過ごす四旬節前のお祭り
異教的に冬と別れ、春を迎え、四旬節前の正教の儀式を行う
次から次へと楽しい様子が万華鏡のごとく、逸る気持ちを
表現した楽曲
力強い勢いのあるリズムは、長く厳しい冬への勝利を高らか
に祝っている

◆チャイコフスキー 四季より 2月 謝肉祭
https://www.youtube.com/watch?v=KBQTLHDrykU

◆画像下:モスクワから約60キロ先の村で、2/22に
行われた「マースレニツァ(Maslenitsa)」の祭り
雪の要塞を制圧し、冬に見立てたわらや木でできた人形を
燃やし、冬の終わりを祝う
四旬節(Lent)直前のマースレニツァは「ざんげ節)」
とも呼ばれる期間で、それぞれの日にそれぞれ意味がある
22日は故意過失を問わず、他者を害した罪の許しを請う日


インヴェンション 第1番2022/1/25(火)
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インベンション【Invention(独)】とは〈創意〉を
意味するラテン語に由来する言葉
音楽用語としては、記譜法、作曲などに創意をこらした
作品のこと
バッハのクラビア曲集(1720‐23)の題名としてよく知られる
この曲集は2声部曲と3声部曲がそれぞれ15曲ずつあり
3声部曲は《シンフォニア》と題されている
バッハが息子の音楽教育のために書いた教材だが、今日でも
対位法の題材としてピアノの必須課題曲となっている

第1番はハ長調で、明るくよく晴れた空に穏やかな風景が
見えるような楽曲

◆J.S.バッハ:インヴェンション 第1番
https://www.youtube.com/watch?v=ziK6ihvbvi4


スケーターズワルツ2022/ 1/20(木)
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「スケータズワルツ」は1882年に作曲されたワルト
トイフェルの最高ヒット作
原曲は管弦楽だがピアノ曲としても人気がある
日本人にとってワルトトイフェルは、この「スケーターズ
ワルツ」や「女学生」など以外はよく知られていないが
19世紀後半のヨーロッパにおいては最大のワルツ作曲家
でカリスマ的人気指揮者だった
彼が生涯に書き残した作品は、ワルツ、ポルカ、ガロップ
などを中心に約300曲にも及び、この『スケーターズ
ワルツ』を筆頭に、ワルツは国境や階級を超えて愛好され、
シュトラウス・ファミリー以後、最大のワルツ作曲家と
呼ばれた
ホルンの吹奏による冬の日の戸外を思わせるのどかな序奏
から、優美な第一ワルツ、ジャンプ姿が目に浮かぶ第二
ワルツ、腰に鈴をつけて滑る人の姿を現した間奏を挟んで、
第一と同じ趣の歌謡的な第三ワルツから、情感豊かで美し
い第4のワルツと続く
映像がくっきりと目に浮かぶ楽しさは永遠に演奏される
魅力満載!!

◆スケーターワルツ:管弦楽
https://www.youtube.com/watch?v=LalcO7Kdvhc 


木枯らし~練習曲 Op25-11 amoll2022/1/18(火)
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「練習曲集 作品25」は、1832年~37年に作曲され、
リストの内妻でもあったマリー・ダグー伯爵夫人に献呈された
リストは、練習曲というものをその概念を超えた演奏会用の
曲目としてとらえることで成そうとした
しかしショパンは違っていて、形式的にはアカデミックだが
内容的にはまったく新しい「僕自身のもの」であるという自信
が溢れている 
その内容とは、まず、技巧的に斬新かつ大変高度なものばかりで
4オクターヴ以上の音域で上下行するようなものは過去の練習曲
には見当たらなかったし、音楽とペダルが不可欠に結び付いてい
る  ショパンの練習曲では、熟考されたペダリングなしで弾け
る曲はひとつもない さらに、旋律も和声的にも魅力的で美しく、
カンタービレ(歌うように)を強く求められる難曲
この第11番「木枯らし」は、右手の半音階で下降する急速なパッ
セージと、上下行する広いパッセージがふんだんに使われている
最初の前奏のような4小節は作曲当時はなかったが、発表前に
友人の勧めで付け加えたといわれる

◆ショパン:練習曲Op25-11 amoll 木枯らし
https://www.youtube.com/watch?v=GGtsWVIXFg4