日めくり音楽帖
良い耳を作れるクラシックからポピュラー作品を
季節に合わせて紹介しています&日々のlessonとか
水の戯れ
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水のきらめきやその動きは印象主義の画家たちが好んで
取り上げた題材のひとつだが、ラヴェルはそうした
一瞬一瞬変化する美しい水の戯れを大胆で繊細な手法に
よって、溢れるような詩情を表現している
「水の戯れ」はラヴェルの名前を最初に高めた作品で、
同時に音楽史上でも、印象主義による最初の作品という
記念すべき傑作
まだパリ音楽院に在学中だったラヴェルは、フランスの
作曲家にとって最も重要な、ローマ大賞というコンクール
に毎年参加したが、その度に落選していた
ラヴェルの革新的な音楽が保守的な審査員に理解できな
かったためだとも言われている
1901年(ラヴェル26歳)に作曲されたのがこの曲は
先輩ドビュッシーが印象主義による作品「版画」を書く
2年前のことだった
5分少々と短いながらも、ラヴェルのピアノ音楽の「味」
が凝縮されているが、リストの「エステ荘の噴水」から
影響を受けているとも言われる
ドビュッシーも「エステ荘の噴水」からのヒントで
「水に映る影(映像第一集)」または「水の反映」とも
訳される曲を書いている
ドビュッシーの「水の反映」は、ありのままの自然な水の
動きを書いているのに対し、ラヴェルの「水の戯れ」は、
制御された噴水、ファンタジーを連想させる作品

◆水の戯れ
1901年作曲、パリ音楽院時代の恩師ガブリエル・
フォーレに献呈
形式:ソナタ形式に近い循環形式

◆水の戯れ:辻井伸行
https://www.youtube.com/watch?v=mFyhcACV02c


ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール
1.

今月2日から始まった第16回ヴァン・クライバーン
国際ピアノコンクールもいよいよファイナル!!
12名のセミファイナルに残った日本の亀井聖矢さんと
マルセル田丸(日本/フランス)さんは、惜しくも
ファイナルには残れませんでしたが、迫力ある美しい
サウンドは印象に残りました。
ファイナルは6名がチャレンジします。
韓国のYunchan Limは18歳と聞いてビックリしました!
疲れを見せない攻めの演奏が圧倒されます。
国際レベルのコンクールで最も過酷なコンクールとして
有名なこのヴァン・クライバーンコンクールは
2009年に辻井伸行さんが日本時として初優勝して大変
話題になりました。辻井さんは「過酷さゆえに自分を
成長させることができた」と語っています。
とにかくハイレベルな演奏ばかりで優劣などわかりません。
が、「気の流れ」が伝わってくるのが嬉しいです。


私のお父さま~ジャンニ・スキッキより

私のいとしいお父さま あの方がとても好きなの
これからポルタロッサへ指輪を買いに行くわ
ええ 行きますとも
もしお許しが出ないなら ポンテヴェッキオ橋へ行って
アルノ河へ身を投げます 思い焦がれ苦しんでいるの 
ああ 神様 死にたいわ  どうかお願い お父さま

という歌詞の「私のお父さま」はオペラ「ジャンニ・
スキッキ」で歌われる美しいアリア
「蝶々夫人」「トスカ」「ラ・ボエーム」などで有名な
プッチーニ(1858-1924)の作品で全作品中、この
ジャンニ・スキッキだけが喜劇
物語は、1299年のフィレンツェ 大金持ちのヴォーゾが
亡くなり、親類達が嘆き悲しむが、街では遺産はすべて
修道院に寄付されるという噂が流れ、その遺言状が公証
人の手に入るとまずいと遺産目当ての親類達は部屋中を
探す そして、ついにリヌッチョ(T)がそれを見つけ
出し、伯母のツィータに「見つけたのだからラウレッタ
(S)と結婚させてくれ」と頼む
遺言状を開けたら、噂どおり全財産が修道院に寄付とあり
皆、怒り出す リヌッチョは、「遺言状を変えられるのは
(知恵者の)ジャンニ・スキッキだけだ」と歌う
スキッキは、持参金なしの娘とは甥を結婚させないと
ツィータにイヤミを言われ、怒ってしまうが、リヌッチョに
遺言状を見せられ、何か良い案はないかと訊かれ、可愛い娘
のラウレッタにもアリア「私のお父さま」で必死に頼まれ、
ついに本気で人肌脱ごうと考えるが・・・

そして物語の最後は強烈なオチがついて幕となる
このアリアの美しさと物語のドタバタ感がどうしてもリンク
しないが、そこがイタリアオペラのおしゃれなところなの
かもしれないと同時に1200年代から遺産問題って、、、
人間はずっと同じようなことしていく生物なんだなあー
やはりマリア・カラスのアリアが一番いいと思う

◆私のお父さま~ジャンニ・スキッキより
https://www.youtube.com/watch?v=l1C8NFDdFYg

◆画像上:ジャコモ・プッチーニ
◆画像中:マリア・カラス
◆画像下:フィレンツェのポンテヴェッキオ橋
東京ディズニーシーにかかる橋のモデルになったと言われる
アルノ河にかかるポンテヴェッキオ(伊語で古い橋の意)橋
橋の両端には宝飾店など多くの店舗がある


6月 舟歌 ~四季より~
1.

~四季より~ 6月 舟歌
浜辺で波を我々の足で愛撫させておくれ
輝く星は我々に悲しくひそかなあいさつをおくる…
詩:プレスチェーエフ

四季の中で最も有名でチャイコフスキーのピアノ曲と
いったらこの「舟歌」を一番に連想する人も多い人気曲
舟歌は多くの作曲家が題材に使い、多くはベニスのゴン
ドラ風な舟歌のリズム=8分の6拍子が主流だが、チャイ
コフスキーの「舟歌」はなんと4拍子で書かれている!
にもかかわらず伴奏リズムが小舟の櫓をこぐ流れが
ちゃんと表され、その上に物悲しい繊細なメロディが
美しく響く
中間部から絶え間なく降り続く雨脚のようなA楽節に
どうやって戻るのだろう?と思うほど、どんどん明るく
なり、なにもかもビッグなロシアの雄大な景色を高ら
かに歌うような力強さが続く
そして神秘的なブリッジから一気に現実に戻された
かのように静けさのAにすっと入り、星空に消えていく…
なんとも映像がよくわかる銘品!!

◆チャイコフスキー 四季より 6月 舟歌
https://www.youtube.com/watch?v=jcBNuH-Tdyo

◆画像:ロシアの真珠と呼ばれる夏のバイカル湖


プレリュード ~ベルガマスク組曲
1.
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プレリュードはベルガマスク組曲の第一曲目として、
全体の情緒、雰囲気を誘う絵画的な作品
曲はヘ長調四分の四拍子Moderatoで、自由に構成
された複合三部形式
冒頭主要主題はドビュッシーが好んで使用した長調、
短調何れともつかない性格の弱い和音による音階的
旋律で始まり、展開していくにつれ、経過音群は
ドビュッシー以前の作曲家の作品には現れない程
独自のもの
「ベルガマスク」とはイタリア北部のベルガモ地方
に由来すると言われる
ドビュッシーは奨学金を経てローマに留学し、帰国
後にこの組曲を作ったので、そのように言われるが
諸説あり
城壁に囲まれた中世の香り漂うベルガモ地方は
このプレリュードや月の光がよく似合う

◆ドビュッシー:プレリュード ~ベルガマスク組曲
https://www.youtube.com/watch?v=LuF9AvhNoqg

◆画像:ベルガモ風景


白鳥 ~動物の謝肉祭より
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「白鳥」は動物の謝肉祭の中で最も有名でチェロの代表曲
としてもよくよく知られている
チェロの美しさを「これでもかー」と輝かせているのは
チェロの高音だ!これが効いている!!
月夜に照らされて女王のように優雅に泳いでいる白鳥と
水面や水しぶきを伴奏のピアノが細かく演出している
一見、なんでもないようなただの美しさがいい、貴重!

作曲者のサン=サーンスは毒気のあるシャレやネタが
大好きで、14曲からなる「動物の謝肉祭」も友達が
集まる音楽会のために作り、パロディあり皮肉ありの
刺激的な作品ばかりの中で、この「白鳥」は唯一の
マジメな美しい曲☆ おふざけの中にこの一曲が入って
いることで、この組曲の完成度の高さが歴史に残った
気がする

◆サン=サーンス:白鳥 チェロ/YO・YOMA
https://www.youtube.com/watch?v=V2yszvJOe28

◆サン=サンーンス:白鳥 2台ピアノ
https://www.youtube.com/watch?v=h0njr0-Vh1c


5月 白夜(五月の夜) ~四季より~
1.

~四季より~ 5月 白夜(五月の夜)
何という夜! 何という恍惚!
私の真夜中の国 お前に感謝する
何と新鮮で澄んでいることだろう 
この五月の爽やかさは!・・・
詩:フィエート

今の暦では白夜は6月だがロシアの古い暦に従うと
今の6月はまだ5月になるので「白夜」と言えば
5月に思われていた
北国の厳しい寒さがようやく終わり、完全な暗闇の
ない白夜が訪れるこの時期が最も恵まれたシーズンで
この曲も冬から解放され、美しい自然をたっぷり楽し
める幸福感に満ちている
静かに語りかけるように始まる幻想的な作品で中間部は
シューマン風なメロディもあり、短いながらも音色の
変化によって=奏者によってこの曲の語り口は大きく
異なる
冒頭のアルペジオを始め、キーをなでるように奏しない
と白いベールが即刻ゴワゴワの分厚いカーテンになって
しまう、、、が、まだ見ぬ白夜を想像するのは楽しい

◆画像:サンクトペテルブルク白夜祭りより
◆チャイコフスキー 四季より 5月 白夜
https://www.youtube.com/watch?v=Awwfd_QOXTE
2025 - 10



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